アロマは東洋医学×西洋医学で活用
アロマは西洋医学?東洋医学?
アロマテラピーは、20世紀初めにガットフォセ(フランスの化学者)が火傷をラベンダー精油で治したことから始まりました。
フランスで始まったから西洋医学?というイメージがあるかもしれませんが、アジアだから東洋医学、ヨーロッパだから西洋医学ということではありません。
西洋医学・東洋医学といいう捉え方は、病状を把握したり治療する時の観点のこと。
西洋医学はおもに科学的な論理と根拠をもとに考察し、東洋医学はおもに五臓六腑の機能やバランスをもとに考察する医学です。
アロマテラピーは西洋医学・東洋医学
どちらの医学にもつかえます
どちらの医学にもつかえます
アロマテラピーは、「アロマ≒芳香」と「セラピー≒療法」を合わせた造語で、植物から抽出した香り成分(精油)を使う療法、つまり施術の方法というだけです。
科学的な論理をもとに不調を見立ててアロマを行えば西洋医学のアロマテラピーになるでしょうし、気血水などのバランスで不調を見立ててアロマを行えば東洋医学のアロマテラピーということになります。
「西洋医学のアロマ」「東洋医学のアロマ」の具体例を挙げてみましょう。
西洋医学でアロマ活用すると...
科学的な論理をもとに行う
西洋医学のアロマテラピー
科学的な論理をもとに西洋医学で考察してアロマテラピーを活用する ときに便利なのは、すでに発表されている論文や研究データです。
たとえば、ニキビでお悩みだったとします。
ニキビの主な原因は、アクネ菌(皮膚常在菌)の過剰な増殖です。in vitro(試験管内の実験)でティートリー精油にアクネ菌の制菌作用があることがわかり、それをもとに臨床試験がおこなわれています。
<参考文献>
Soukoulis S,Hirsch R.:The effects of a tea tree oil-containing gel on plaque and chronic gingivitis.Aust Dent J.,49:78-83,2004.
<内容の要約>
ニキビ患者119名に、ティートリー精油5%を含むジェルを3ヵ月使用したところ、5%過酸化ベンゾイル製剤(ニキビ治療薬)と同程度の作用があるとともに、5%過酸化ベンゾイル製剤よりも、痒み・乾燥が少なかった。
文献を生活に役立ててみる
上記論文のような西洋医学的な視点を参考にして、ティートリー精油をニキビ予防に役立てるということができます。
スキンローションを手作りするときに、精油をあえてティートリーにしてみたり、フェイシャルスチームをするときもティートリー精油を使ったり...などなど。
ただし要注意!!
参考文献に普段の使い方と違う情報があった場合でも、精油の濃度は必ずいつも通りにボディは1%濃度以下、フェィスは0.5%濃度以下の規定を守りましょう。
安全にアロマを楽しむため。身を守るためです。
なにも、みずからの皮膚で危険なことをチャレンジする必要はないのです。
東洋医学でアロマを活用すると...
気血水のバランスをもとに行う
東洋医学のアロマテラピー
東洋医学で考察してアロマテラピーを活用するには、少し専門知識が必要です。
肝・心・脾...といった一見するとおなじみの臓器でも、東洋医学での五臓六腑の働きは、西洋医学と全く違いますし、「心包」「三焦」「気」など現代解剖では出てこないものが存在します。
たとえば、ストレスで肩コリがひどかったとします。
「肝」という臓器は、「気」の動きを調整しているのですが、感情の影響を受けやすく、なかでも『怒り』は肝の陽気を刺激します。最初は肝の陰液で制御できますが、消耗が激しくなり肝陰が不足すると、暴走して頭の方へ陽気が上昇します。
これを現代風に言えば
「顔を赤くして怒る」「わずかな刺激でイライラする」という状態で、これによって不眠・頭痛・肩こりなどが起こるのですが、陽が過多なのでこのタイプは「温めると悪化する」または「温めても効かない」症状だとわかります。
東洋医学で不調をとらえて
アロマテラピーを行う
アロマテラピーを行う
この東洋医学的な視点を参考にして、
アロマテラピーを「ストレス性の肩こりに役立てる」ことができます。
「なにをしてもイライラする」状態の肩こりにアロマテラピーをするときは、肩を温める温湿布よりも、「爽やか」と感じられる精油を選んで、吸入や芳香浴をするほうが効果的。
経絡やツボを活用するなら、この症状には、肝腎の陰を養って陽の動きを正常化させるのが最適なので、肝経の原穴「太衝」と肝の背兪穴「肝兪」を意識したアロマトリートメントもおすすめです。
「当院の治療」と「アロマ外来」は
この観点でアロマを行っています。
当院(かおり&やすらぎ)での鍼灸アロマ総合治療や、緑が丘クリニックのアロマ外来では、この観点でのアロマテラピーも含めて行っています。
患者さまが「東洋医学のアロマテラピー」でセルフケアできるように、わかりやすく解説した内容は、著書『アロマテラピー外来が教えるメディカルアロマ&ハーブのセルフケア辞典』に書きましたので、興味がある方はご覧ください。
生薬としての東洋医学アロマもあります。
漢方と精油の共通点を生かした
東洋医学のアロマテラピー
漢方薬の原料になっている「生薬」には精油やハーブと共通の植物があるので、これを活用した「東洋医学のアロマテラピー」もあります。
たとえば、健胃の生薬である「茴香(ういきょう)」はフェンネルですし、「桂皮(けいひ)」はシナモンです。
内科で処方される漢方薬で「六君子湯」「補中益気湯」がありますが、その中の成分「陳皮」は柑橘の皮、つまりマンダリンやオレンジです。
そのことを参考にして、
消化機能が落ちたときに、柑橘系の精油やフェンネルなどを選ぶのも「東洋医学を活用したアロマテラピー」といえます。とはいえ、漢方薬とアロマテラピーの両方で活用されている植物は、それほど多くはありません。
それぞれの良さをアロマに活用すべき
西洋医学と東洋医学、両方の良さ
をいかしたアロマテラピーを!
西洋医学と東洋医学のどちらかだけを選ぶのではなく、両方それぞれの特徴をいかしてアロマテラピーに役立てるのが最適だと思います。
西洋医学のアロマテラピーは
参考にする精油データの確信性は、in vitro(試験管内の実験)などが得意分野です。細菌や真菌などに対しての精油の抗菌作用などは、実験結果がはっきりしていてわかりやすい。ただし、in vivo(生体内での実験)やヒトをかえした臨床試験などになると、「今回の実験ではこうなった」という報告で、確信的なデータを得るのは難しいのが現状です。
東洋医学のアロマテラピーは
参考にする身体(体質)の見立て方については、専門知識が必要になりますが、不調の見立てがわかるようになると、同じ『不眠』という症状でも、「ストレス過多」「体力の衰え」「気力体力の不足」「胃腸の疲れ」などと体質を絞って、具体的な対処をアロマですることができます。
簡単に東洋医学が活用できるように
当院の患者様向けの東洋医学のセルフケア用「チェックシート」を作りましたので、不調になるときのクセ(からだの偏り)を確認してみてください。
◆東洋医学での体質診断チェックシート
尚、当院がおすすめする『養生メニュー』では、
東洋医学と西洋医学の両方からアロマテラピーを提案しています。
<頭痛・首肩こり・痛みの専門治療>
鍼灸アロマ治療院かおり&やすらぎ
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